いま、製造業の現場では「調達の問題」が、そのまま「営業の問題」になり始めています。
中東情勢の緊迫化を受けて、経済産業省は中東情勢関連対策のワンストップポータルを設け、溶剤、潤滑油、トルエン・キシレンなどを含む重要物資の安定供給に向けた情報集約や要請を進めています。大臣会見でも、ナフサや塗料用シンナーなど石油化学由来製品について、国内全体として必要量は確保しつつも、供給の偏りや流通の目詰まりが起きているという認識が示されました。つまり、「日本全体では足りている」という説明の一方で、実際の現場では、必要なものが必要なタイミングで届かない、あるいは顧客側で調達不安が先に起きて発注が鈍る、という現実がすでに始まっているということです。
JOGMECの資料では、日本のナフサ調達における中東依存度は過去10年で48%から73%へ上昇したと整理されています。さらに、日本銀行の企業物価指数でも、輸入物価の上昇要因として原油・ナフサを含む「石油・石炭・天然ガス」が大きく寄与しています。供給と価格の両面で不安定さが続くなか、いま製造業が直面しているのは、単なる原材料コストの問題ではなく、受注構造そのものが揺れ始めているという現実です。
こうした局面で、特に早く動きたい企業があります。
ひとつは、自社の生産体制には大きな支障がないのに、取引先が減産や調達見直しに入ったことで、発注量が落ち始めている企業です。
もうひとつは、自社の製品や加工が代替案になりうるのに、その強みがWeb上で十分に伝わっておらず、せっかくの引き合い機会を逃している企業です。
このような状況では、従来どおり展示会や紹介だけを待つ営業では間に合わないことがあります。見込み客が「今すぐ代替先を探したい」「発注先を増やしたい」と動いたときに、検索され、見つかり、比較され、相談される状態をつくれているかどうか。そこが、これからの受注を大きく左右します。
いま起きているのは「資材の問題」だけではなく「受注の問題」
ナフサ供給不安と聞くと、多くの方はまず「材料が入るかどうか」「自社の生産が回るかどうか」を考えると思います。もちろん、それは最優先で確認すべきことです。
ただ、今起きている影響はそこだけにとどまりません。実際には、自社が直接困っていなくても、取引先やその先の顧客が影響を受けることで、見積件数が減る、定番品の数量が落ちる、発注時期が後ろ倒しになる、といった形で売上に影響が出始めます。特に、ナフサ由来の材料や副資材、塗料、溶剤、潤滑油などが関わる業界では、顧客側が慎重になりやすく、「先が読めないから一旦絞る」という動きが起こりやすくなります。
つまり、いま製造業に起きているのは、単なる供給不安ではありません。調達の不安が、顧客の発注行動を変え、結果として営業課題になるという流れです。
この変化は、あとから見返すと静かに見えるかもしれません。けれど現場では、じわじわというより、「先月まで出ていた案件が急に止まる」「リピートが半分になる」「比較検討だけで終わる」といった形で急に体感されることが多いはずです。だからこそ、売上が大きく落ち込んでから動くのではなく、発注の鈍りが見えた段階で新規顧客との接点づくりを始めることが重要になります。

いま特に動きたいのは、こんな製造業です
既存顧客の発注減を、新規開拓で埋める必要がある企業
自社の生産ラインは大きく止まっていない。仕入れも、いまのところ致命的な支障は出ていない。それでも売上が落ちてきているとしたら、原因は自社の中ではなく、顧客側にあるかもしれません。
たとえば、顧客が原材料や副資材の確保に苦戦している。あるいは、先行き不透明感から在庫を絞っている。また、供給不安を受けてサプライチェーン全体の見直しが進み、いつも通りの発注ができなくなっている。こうした変化は、製造業では珍しいことではなくなっています。
このとき、「状況が落ち着けば戻るだろう」と待つだけでは危険です。顧客の調達方針が変わる局面では、競合も新しい案件を取りに動きます。既存取引だけを前提にしていると、受注減を埋める手段がなくなってしまいます。
だからこそ今必要なのは、これまで接点のなかった企業にも自社を知ってもらうことです。展示会、紹介、既存ルートはもちろん大切です。ですが、それだけでは足りない場面が、いままさに増えています。
代替先として選ばれる可能性があるのに、打ち出せていない企業
いまの状況は、すべての製造業にとってマイナスなだけではありません。むしろ、自社の製品や加工がナフサ依存の影響を受けにくい場合や、別素材・別工法で代替提案ができる場合には、新しい需要を取りにいける可能性があります。
たとえば、既存材料から別素材への切り替えに対応できる、供給が不安定な部材の代替加工ができる、調達しやすい国内材料で提案できる、仕様を少し変えることで安定供給につなげられる。こうした強みは、今の市場環境では非常に価値があります。
ただし、その価値は、相手に伝わって初めて意味を持ちます。営業の場では当たり前に説明していることでも、ホームページやLPに載っていなければ、見込み客には伝わりません。今探している企業は、「代替」「切り替え」「供給リスクを抑えたい」「別素材で対応できる会社」といった切り口で情報収集しているはずです。そのときに自社が見つからなければ、チャンスはそのまま別の会社に流れていきます。

なぜ今、「展示会だけに頼る集客」では間に合わないのか
展示会は、これからも有効な営業手段です。技術的な相談がしやすく、実物やサンプルを見せられ、短時間で多くの接点を作れる。製造業と相性が良いことは間違いありません。
ただ、今のように状況が日単位、週単位で変わる局面では、展示会だけでは遅くなることがあります。
まず、展示会は開催タイミングが限られます。そして来場する相手にしか会えません。一方で、顧客側の調達見直しや代替先探しは、困ったその瞬間から始まります。今月案件が止まりそうな会社は、次の展示会まで待ってくれません。
さらに、展示会で名刺交換ができても、その後は必ずと言っていいほどWebで比較されます。会社名を検索され、サイトを見られ、対応範囲や実績や設備や強みが確認されます。そのときに、必要な情報がなければ、「よく分からない会社」で終わってしまいます。
つまり、展示会は「出会う」ための手段であって、「選ばれる」ための準備まではしてくれません。今必要なのは、展示会を否定することではなく、展示会がない時期でも、紹介がなくても、検索から見つけてもらえる状態をつくることです。

いま製造業サイトで真っ先に打ち出したい情報
何ができる会社かを、具体的に書く
まず必要なのは、「うちは何ができる会社なのか」を、なるべく具体的に伝えることです。
対応加工、材質、サイズ、ロット、試作の可否、量産対応の有無、短納期への対応、設計相談の可否。こうした情報が整理されていれば、見込み客は自社に合うかどうかを早い段階で判断できます。
逆に、抽象的な会社案内だけでは、比較検討の対象に残りにくくなります。特に今は、代替先を探している企業ほど急いでいます。ぱっと見て分かる、迷わない、という整理がとても大切です。
「代替提案できる」「切り替え相談に乗れる」を明文化する
まず必要なのは、「うちは何ができる会社なのか」を、なるべく具体的に伝えることです。
対応加工、材質、サイズ、ロット、試作の可否、量産対応の有無、短納期への対応、設計相談の可否。こうした情報が整理されていれば、見込み客は自社に合うかどうかを早い段階で判断できます。
逆に、抽象的な会社案内だけでは、比較検討の対象に残りにくくなります。特に今は、代替先を探している企業ほど急いでいます。ぱっと見て分かる、迷わない、という整理がとても大切です。
実績や事例を、“今の困りごと”に寄せて見せる
通常の事例紹介だけではなく、今の市場環境に合わせた見せ方も有効です。
たとえば、材料変更に対応した事例、納期や供給制約の中で提案した事例、仕様見直しで安定供給につながった事例、小ロット・短納期でつないだ試作事例。こうした事例は、単に「実績があります」と伝えるよりも、見込み客にとってはるかに具体的です。自社の課題に近いものを感じてもらえれば、問い合わせにつながりやすくなります。
問い合わせの入口を「相談」寄りにする
今は、見込み客の状況も固まりきっていないことが多いはずです。図面はまだ仮、代替できるかどうか先に聞きたい、正式発注ではなくまず方向性を相談したい。そうした段階の問い合わせが増えます。
そのため、問い合わせフォームやCTAも、「見積依頼はこちら」だけではなく、「まずは相談してみる」「代替の可否を聞いてみる」「仕様変更について相談する」といった入り口を用意しておく方が、今の状況には合っています。

まず作りたいのは、“新規顧客に見つけてもらうためのページ”
Web集客というと、SEO、広告、SNS、記事運用など、やることが多く見えるかもしれません。もちろん、どれも大切です。
ただ、今のように動きが早い局面では、まず優先したいことはもっとシンプルです。それは、新規顧客に見つけてもらい、相談しやすくするためのページを作ることです。
たとえば、次のようなページは非常に有効です。
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供給不安のある材料・部材の代替提案ページ
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切り替え相談に対応していることを伝えるページ
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ナフサ依存の影響を受けにくい製品・加工を紹介するページ
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よくある相談と対応可否をまとめたページ
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用途別・業界別の提案事例ページ
こうしたページは、単なる会社案内ではありません。今まさに困っている人が検索しそうな言葉に対して、自社が答えを用意するページです。展示会や紹介がなくても、困りごとから接点が生まれる。そこに意味があります。
大きく変えなくてもいい。まずは“今、伝えるべきこと”を前に出す
ここまで読むと、全面リニューアルが必要に見えるかもしれません。でも、必ずしもそこから始める必要はありません。
まずは今あるサイトの中で、いま来てほしい顧客は誰なのか、その人は何に困っているのか、自社のどの強みが今の状況で刺さるのか、どんな言葉なら相談しやすいか。この4つを整理して、情報の順番を変えるだけでも、伝わり方は大きく変わります。
平時の会社案内をそのまま出しておくのではなく、今の市場環境で、今の見込み客が知りたいことを先に見せる。これが、いま最初にやりたい改善です。
必要なのは、完璧な作り込みよりも、変化に合わせて伝え方を素早く整えることです。

まとめ
ナフサ供給不安をめぐっては、政府が安定供給や代替調達を進める一方で、現場ではすでに供給の偏りや流通の目詰まりが問題になっています。その影響は、原材料を直接使う企業だけではなく、取引先の発注行動や受注構造にも広がっています。
だからこそ今、急いで取り組みたいのは、既存顧客の発注減を新規開拓で補いたい企業と、代替需要を取りにいけるのに、その強みを十分に打ち出せていない企業です。
展示会や紹介は、これからも大切です。ただ、今の局面ではそれだけでは足りません。見込み客が困ったそのタイミングで検索し、見つけ、比較し、相談できる状態をつくっておくこと。それが、これからの製造業の集客ではますます重要になります。
もし今、「既存顧客の発注減が気になっている」「代替需要を取りたいのに、サイトでうまく伝えられていない」と感じているなら、まずは“何をどう打ち出すか”を整理するところから始めてみる価値があります。
いま伝えるべきこと、整理できていますか
既存顧客の発注減をカバーしたい。
代替需要を取りにいきたい。
でも、Webで何をどう伝えればいいかは、意外と整理が難しいものです。
iWac.jp では、製造業のLPやWebページづくりについて、「いまの状況に合わせて、何を打ち出すべきか」 という整理の段階からご相談いただけます。
新規顧客の獲得に向けて、まずは今の伝え方を見直したい方は、お気軽にご相談ください。

参照
